※本コラムは、心理学者および臨床心理士によって、日常に役立つであろう心理学の知識を、毎月連載ものとして記載しています。無断の転載や複製は遠慮願います。

心理テストって?

心理テストとはなんでしょうか?連想されるのは、テレビ番組やインターネットで見かける、「この絵の中のあなたはどれですか?」などときかれ、AからDを選んで、「Aの人は積極的な人です」とかでしょうか?それとも、「他人に自己紹介するのは苦手だ ①非常に苦手、②苦手、③どちらでもない、④苦手ではない、⑤全く苦手ではない」という質問に回答するような検査でしょうか?

■よくある心理検査の例

Q.自宅および仕事場の環境はかなり整理されている。
①非常に整理されている
②やや整理されている
③どちらともいえない
④やや整理されていない
⑤まったく整理させていない

そうした心理テストは2つに分かれます。前者のように、特に理論もなく、おもしろおかしく作られたものです。もうひとつはひとのよくある行動を測定するもので、後者の例題はそれにあたります。これらのゲーム感覚なようなものが、心理テストと呼ばれていることがあります。またあるいは、それ以外に分類される、「あなたはこの絵のそこになにがあるとおもいますか?」というような、人の「深層心理」を読み取るような検査もあります。あとは業界テストと呼ばれる、就職活動などで使われる「性格適性検査」というような名称の検査などもひとつです。これは、性格を測っているようでいて、社会や組織にどの程度適応できるかの行動特徴をみています。例えば、平均からどのくらいずれているのかを測り、「標準」のひとなのか、「標準」の人でないのか、などをみたりします。

いずれもこうした検査すべて現在の日本では「心理テスト」や「心理検査」に位置付けられてます。

しかし、本来の自分を知るための心理検査は、上記のものとは一線を画します。自分というとてもプライベートなことを分析するためには、一定の訓練を受けた専門家の支援が不可欠です。また、じっくりと時間をかけておこなうことが必要です。そして前述のように、自分の性格なのに、第三者が、あなたの性格をいくつかの質問項目で診断するのは、どんな感じがしますか?本来、心理検査は非常にプライベートな内容をみていくものですので、個人的な秘密の守られた場所で行う必要があるので、公やネット上で公開されてのテストは、是非楽しむ程度のものとしてとらえていただくのが安全です。

人はだれもが深淵ですので、自分の性格であってもそれを適切に分析するにはそれなりに時間も労力もかかります。ただ適切な自己分析ができると、自分が部活を選ぶ時や、進路選択するときや、キャリアを選択するとき、人間関係を構築するとき、よりよいコミュニケ―ショをとるときなどに実際に役立ち続けてくれます。そのために、フォーマルアセスメントという統計的に信頼性や妥当性および有用性が認められたアセスメントが存在します。このフォーマルアセスメントを心理学では「心理検査」や「心理アセスメント」と呼称します。

自分の人生において有益な自己理解を得たり、他者理解を促進したいときなど、ご自分の人生や人間関係の改善などに実際に役立つ指針を得たいときは、是非フォーマルアセスメントを実施してくれる専門家のドアをたたいてください。